―現在のお仕事についてお聞かせ下さい。
現在はドラマのプロデューサーおよびディレクターとして、この『TBS・講談社 ドラマ原作大賞』ドラマに加え、来年からはじまる単発ドラマ、連続ドラマを担当しております。
これまでには、「ダブルキッチン(1993年放送)」、「スウィートホーム(1994年放送)」、「私の運命(1994年放送)」(いずれもディレクターとして)など、最近では「最後の赤紙配達人(2009年放送)」などを担当しました。「はなまるマーケット」のプロデューサーをしていた時期もあります。
プロデューサーの仕事内容は、一言でいうと“演出以外のすべての仕事”になります。
具体的には企画立案から脚本家との脚本制作、キャスティング、スタッフコーディネート、予算管理、宣伝企画、さらにスポンサーへの説明も行いますが、なかでも各場面で“よりよいドラマ作り”を目指し、最終判断を下すのがプロデューサーです。
―選考委員として、選考に関わった感想をお聞かせ下さい。
全体的にクオリティは高かった気がします。
作品のテイストとしては、1回目がコメディ(被取締役新入社員)だったこともあり、コメディ作品が半分、また最近の歴史ブームを反映してか時代劇風の作品やサスペンス系作品も多かったですね。
ただ、今まで読んだ・観たことがあったり、新しさ・斬新さが欠けていたりと、決め手のある作品は少なかったような気がします。
ドラマのプロデューサーとして選考していたので、「うまくいったら、面白いものができるだろうなぁ。」というような、作る側の想像意欲をかきたてる作品を探していました。
―大賞を受賞した作品と他の作品の違いは何だと思いますか。
まず大賞を受賞した「記憶の海」は、荒削りな部分もありましたが、「誰しもが持っている記憶をコンピュータ(システムデータ)に保存する」という設定・発想がほかのどれにも属さないもので、とても斬新でかつ面白いと思いました。
また、SFでありながら、普遍的なラブストーリーの要素もあり、読んだ後にミステリアスさや、せつなさが残ったところも好印象でした。
そしてドラマのプロデューサーの立場から言えば、この作品は素直に「この原作をドラマにしたら面白いだろうなぁ」と思ったと同時に、今後新たにドラマを創る上で、様々な可能性を感じた作品でした。
―原作とドラマの違いはなんですか。
「原作の面白さを100点とすると、120点の面白さを目指すのがドラマだと思います。そうでないとわざわざドラマ化する意味がないですから。
原作は物語の“核”であり、“ヒント”だと思っています。原作者の許容範囲にもよりますが、かつて黒澤明がシェイクスピアの『マクベス』や海外のハードボイルド小説からヒントを得て素晴らしい映画を創ったように、視聴者に面白く伝えるためには、時には大きな改変も必要だと思います。もちろん、原作の持つ世界観や原作者が訴えたいことは残していきますよ。
―今回の作品に対する意気込みをお聞かせ下さい。
余り類を見ない内容のドラマです。それにふさわしく、放送形態も4夜連続という新しい試みに挑戦しています。
視聴者の方たちがドラマを見る目は、非常に肥えていると思います。アメリカ製の手の込んだドラマも日常的にご覧になっていますからね。そんな目の肥えた方にもご満足いただける、“普遍的”で”新しい“ドラマにします。
“記憶をコンピュータに保存する”という新ジャンルに挑戦していますが、10年後にはこのジャンルのパイオニアとして、皆さんの記憶に残る作品になっていたいと思います。
TVドラマ化は現在脚本作成の最中ですが、登場人物のキャラクターや人数も少し変わっています。原作はもちろん、現在同時進行中のラジオドラマを含め、それぞれの作品を楽しんで下さい。
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